夜に消える答えの在り処

〜 3 〜






 何時までも入り口ばかりを弄り奥へと刺激が及ばないことに焦れた身体が、ゆるゆると前後に蠢き出した。蜜口から指を外し、幹をゆるゆると擦り上げながら尋ねる。
「どうかしましたか」
「…ん…っふ…」
 腰を揺らし切なげな声を上げて頭を振る。その様子を見ながら、濡れそぼった蕾に息が吹きかかる位置に顔を据えたまま続けた。
「此処に、もっと?」
 息と、唇と、舌の感触。ぞくぞくと背筋を這い登っていく感覚に深く溜息をついて、ルヴァは双丘に口付けるヴィクトールを濡れた目で振り返った。
「…っそ、こ……っ」
 かかる吐息にぶる、と震える。続けて抉るように触れてきた舌に、腰を差し出すようにルヴァは身体を倒した。
「もっと奥に?」
 肯きと啜り泣くような声。笑みを浮かべる唇で指を舐めると、ず、と人差し指を狭い其処に差し入れた。
「はっあ、っぁあ」
 大きく跳ねる肢体を眺めながら、さらに2度3度と奥を衝く。ようやく与えられた強い快楽に、ルヴァが高く喘いだ。突き上げに摺り上がった頬に、何か酷く熱いものが触れる。声を零しながら潤んだ瞳を開くと、目の前にはヴィクトールの昂ぶりが揺れていた。
 腹に付きそうなほど反り返り、太く大きく育ったそれを見詰めるルヴァの喉がこくりと鳴った。淫らに蠢く蕾に幾度咥えさせられ幾度鳴かされたことか。想い出して、もう一度、喉が鳴る。
「…は……」
 潤んだ視線をひたりと昂ぶりに当て、口を開いて舌を差し出す。下肢に加えられる悦に身体を引き攣らせながら、ぴちゃりと太い幹を舐め上げる。
「……っ」
 微かな声と共に、下肢を窺う気配がする。視線を感じながらも、触れたいという欲求を止められないとでも言うかのように、大きく唇を開けてそれを食んだ。唇で表面を揉みながら、伸ばした舌で硬い昂ぶりを舐め上げる。びく、と反応してさらに硬くなるそれに身体を貫かれる、その悦を想って青鈍が更に濡れていく。



 下肢から押し寄せる悦に赤銅の眉を顰めながら、中指で入り口を撫でる。器用に蜜を落とすと、ずるりと2本目を侵入させた。
「っあ、く」
 仰け反る唇を昂ぶりが弾く。かくかくと震えながら、手を伸ばしてもう一度唇を近付ける。手の平に伝わる脈動と、焼けるほどの熱。口一杯に頬張るだけで、肢体がびりびりと快楽に打ち震える。
「ふ……っん、ん…」
 襲い掛かる快楽を散らすかの如く夢中でヴィクトールの昂ぶりにしゃぶりつき、呆けたような表情で悦を貪る。眇めるように見る黄金の瞳が笑みを含んで瞬き、強く蕾を穿った。指2本でもきつく締め付けてくる其処に3本目を咥え込ませようと企んで、引出し押し込まれる媚肉を舌で弄る。



 ぐい、と指を突き入れそのまま奥のしこりばかりをぐにぐにと突付き回し、指を咥え込み広げられた入り口の襞を舐り蜜を落とした。そうして、薬指までも侵入させてしまう。
「んんっ……っん」
 激しい震えがルヴァを襲う。あるときはひたりと寄り添ったまま突かれ、またあるときは内壁を押し広げるようにそれぞれの指が異なった動きでルヴァを責める。ひっきりなしに喘ぎながらも目の前の昂ぶりを咥えようとする動きは止まることを知らず、くぐもった声を上げながら、ひたすら奉仕する。
 後ろを深く穿ちながら、添えてゆるく扱くだけになっていた左手の動きを再開する。指できつい輪をつくり根元から括れまでをただひたすら擦り上げ追い詰めていく。
「もっと要りますか」
 咥えたまま、その声に頷く。早く、と言わんばかりに、含んだ昂ぶりを唇で扱き幾度も吸い上げる。汗でしっとりと濡れた白い双丘に手を添わせ、僅かに歪んだ瞳のままで口付けた。片脚の付け根を手の平でしっかと掴み、指を激しく突き入れる。くぐもった声が大きく忙しなくなっていく。触れられていない昂ぶりからはとろとろと雫が零れ落ち、ヴィクトールの胸を濡らした。
 突き入れる度に奥のしこりに触れ、数回に一回は突き崩すかのように抉っていく。幾度目だったろうか、与えられる刺激に耐え切れずルヴァが含んでいた昂ぶりを吐き出して高く喘いだ。
「達っていいですよ…ほら」
 蕾に囁くように呟くと、ぐちゅ、と指を奥深く潜らせてしこりをきつく抉った。途端、ルヴァの唇から悲鳴じみた声が放たれる。
「ふ…っく……ぅあ、あああっっ!」
 咥え込んだ指をきつく締め付け、背筋を反らし白い喉を晒して、部屋中に響き渡るような鳴き声を放つ。びくびくと幾度も震え断続的に何度も蜜を振り零して、ルヴァは溜まった慾を開放した。ヴィクトールの腹を白く染め、熱く猛る彼の昂ぶりに頬を擦り寄せながら、ひくり、と肢体を震わせる。





 求めて、求めて、求めて。飽くことなく、際限なく、求め合う。



 身体の奥、心の底に棲む空虚が、行為を終えたその後に、さらにその身を肥大させることを、知りながら。





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