何処に居ても傍に居る 〜 3 〜 |
こくりとルヴァの喉が鳴った。一度記憶を紐解き始めた思考は留まることを知らず、過日の熱を再現するかの如く鮮やかに蘇る。 「……ゼフェル…」 ヘアバンドをぎゅうっと握り締めて、とさりとソファに座り込む。握った手を口元に当て、もう片方の手で胸元をきつく握り締めた。 縛められた腕のもどかしさと、次々に落とされていく熱の感触。布越しに触れてきたゼフェルの手は、そのあと何処へ潜っていったか。柔らかい口付けは、何処へ落とされたか。反芻し始めてしまった自分に苦笑する。 薄く目を開けて、口元に押し付けたそれへと視線を注ぐ。潤み始めた瞳がゆるりと微笑んだ。 「早く……帰って、きてください……」 胸元を握り締めていた指先で、服の合わせを解いていく。溜息をつきながら右手で握り締めたそれへ口付ける。 ゼフェルの匂いを、微かに感じた。 肌蹴られた服の合わせに手の平を滑り込ませて喉もとから胸へと辿る。ソファへと体重を預けきった身体が、ひくりと戦慄いた。ゼフェルの指を思い出しながら、自分の身体を弄っていく。 自分の手が、自分のものでなくなるような感覚に襲われる。 『…もう、熱くなってる……そんなに気持ち好い?』 熱っぽい囁きが耳元で湧き起こる。かあっと頬を赤らめて、更に手を下へと伸ばしていく。 目を閉じて、肌に触れる感覚だけを追いかける。 腹部を降りていった指先が、昂ぶりへと触れた。びく、と肩を震わせて喉を反らし、背凭れの天辺に頭を預ける。浅く息をついてから、やんわりと握り込んだ。 「…あ……っ…」 広がっていく痺れ。肌が粟立ち、胸の奥にちりちりとした疼きが生まれる。熱い吐息をひとつ吐き出し、指先に力を込める。 『ルヴァ…』 耳元で熱く囁く声を思い出して、瞼を震わせた。 くち、と微かな水音が鼓膜を打ち、更に熱が上がっていく。 声を抑えるように口元に当てられた手へ熱い吐息が染み込んでいく。下肢に忍ばせた指を伸ばしてゆっくりと擦り上げる、ただそれだけで、膝が笑いそうになってしまう。 腰から下に力が入れられなくなり、足の指先がひとりでに引き攣る。脳裏に薄く微笑むゼフェルの貌が浮かび、ルヴァの羞恥を高めていく。 「ゼ……フェ、ル…」 『凄い…濡れてる。……もっと?』 こく、と微かに頷き息を呑む。ゼフェルの密やかな笑い声が聞こえたような気がして、また身体の熱が上がる。 湿った音が耳に届き、指に感じる自身も熱く硬くなっていくのが判った。 手の平全体で包み込むようにして扱くとびくびくと頭を振り震え、更に思考が蕩ける。うわ言のようにゼフェルの名を呼び、更に悦を貪ろうと手に力を込めた。 |