「……ルヴァ、そんなにひとりで寂しかった?」
現実感を伴って耳元で囁かれた声に、心臓が飛び上がりそうな程驚いて上体を跳ね起こした。慌てて合わせを寄せ後ろを振り返る。
「今、帰ったぜ」
火照る頬に口付けが落とされた。視界には見覚えのある銀糸が揺れていて。
「……ゼフェ…ル…?」
「なに?オレの貌、忘れた?」
くす、と微笑うと、背中からルヴァの肩をぎゅうっと抱き締める。蒼の髪に頬を寄せてひとつ口付け、また頬擦りをする。
「帰ってくるの、明日…じゃ……?」
「ルヴァに逢いたくって、さっさと片付けてきた」
凄いだろ?と言わんばかりに笑う。するりと腕を解くとソファを回り、突然の帰還に呆然とするルヴァの前へと足を運んだ。
床に膝をついて細い腰へ手を廻し、首を傾げるようにして青鈍の瞳を覗き込む。
「…逢いたかった」
とんでもないところを見られてしまい、貌を真っ赤にしてしまうルヴァ。その青鈍を覗き込んだまま近付いてついっと顔を寄せると、紅い唇に掠めるような口付けを落とす。熱を持ったままのルヴァの身体が、ひくりと戦慄いた。
「ルヴァ……大好き」
ふわりと重ねられる唇。合わせを舌先でなぞられて、思わず唇を綻ばせてしまう。ゼフェルは嬉しそうに微笑うと、少し顔を傾け深く口付けた。
「…っ……んっ」
合わせを掻き抱いていた手に震えが走る。緊張を解いていく緩やかな口付けに、強張っていたルヴァの身体の力が抜けていく。
紅い舌がゆるりと唇を撫で、ゆっくりとゼフェルの顔が離れた。
「……続き、する?」
「…っあ、あのっ……」
再び恥ずかしさがぶり返してきて、ルヴァが泣きそうな顔をする。
「久しぶりに逢えて、…その、さ、あんなルヴァ見ちゃって……」
一瞬視線を泳がせて、ぱりぱりと頭を掻く。それから、じいっと上目遣いでルヴァを見詰め、頬にひとつ口付けた。
そのまま耳元に唇を寄せてそっと囁く。
「なぁ……しよ?」
林檎よりも紅くなった頬にもう一度口付ける。
胸元から手の平を忍び込ませて肩を撫で包む。びく、と震えたそれを幾度も撫でながら、ゆっくりと上衣を肩から滑り落とした。
「久しぶりに、ルヴァとしたい……」
白い喉元に顔を埋めるゼフェルを真っ赤な顔で見下ろしながら、肌を唇が這う感触に目を細めてこくりと息を呑んだ。眩暈と痺れと熱の燻り。ルヴァの身体の奥で、ゼフェルが欲しいという気持ちが膨れ上がっていく。
「っふ」
既にしこっていた胸の飾りを唇で包まれて、声が零れた。力の抜けてしまっていた腕をようよう持ち上げて、ゼフェルの肩へと廻す。酷く潤んだ目元を紅く染め震える声を呑み込み、疾走る疼きを耐えて上肢を屈めた。
ふと上がった紅に視線を絡めてそっと囁く。
「わたしも……貴方、と」
言葉の続きは、ゼフェルの唇で遮られた。
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