護りたいひとが居るということ 〜 1 〜 |
「でも、あれで結構真面目だったりするんですよね」 ばふんと寝台へ飛び込みながら、笑みを湛えた貌で独り言う。 「人一倍覚えもいいですからね、あの子は。でも……もう少しだけ、気分の斑が無くなるといいんですけれどね〜」 寝台を軽く軋ませて、夜着のルヴァがその隣に座る。ごろりと横になったまま身体を反転させ、微笑む青鈍を見上げた。ふと、視線が絡む。 「ランディ……」 白いターバンが揺れて、綺麗という形容が酷く似合う貌が近付く。 「ルヴァ、さ……」 柔らかくて甘い唇が触れる。それを受け止めながらランディは腕を伸ばし、更にルヴァの顔を引き寄せた。深くなる、口付け。 ややして離れたルヴァの貌は、ほんのり紅くなっていて。 「……上手く…なった、…です、ね」 掠れた声と潤みかけた瞳が、先の言葉を雄弁に裏付けていた。照れたように小さく笑うと、ランディが頭を掻く。 「けど、やっぱりまだ照れちゃいますね」 肘を突いて上体を起こし、微笑いながら肩を竦める彼を見詰める。 誰に汚されることもない、ただひたすらに真っ直ぐな瞳と心。初めて逢った時から変わらないそれに、眩しげに目を細めた。 緩く握られていた片手を取り、己の首筋に当てる。僅かに見開かれた青い瞳をゆるりとした笑みで見返したまま、取った手で自分の首筋を撫で上げさせて最後に頬を摺り寄せた。こくりと息を呑む青の視線と、とろりと融け出し始める青鈍の視線が絡み合う。 「ルヴァ様…」 片手を寝台について半身を起こし、端に腰掛けていたルヴァをそのままゆっくりと引き倒す。上半身を抱きこむような形で上から見下ろし、もう一度口付ける。最初は触れるだけ。徐々に深く、深く。 「……舌、を…」 掠れた声が望むまま舌が伸ばされ、唇を辿り歯列を割る。頤を上げてそれを喰み、咥内へ誘い込んで甘く吸う。ひく、と戦慄く肩を宥めながら、今度は自分にもして欲しいとばかりに、己の舌を忍び込ませた。 「…っん」 挿し入れられた甘い舌を、以前教えられた通りにゆるゆると吸い上げる。柔らかい感触を確かめるように幾度も舌先で撫で、絡めとり、深く合わせてから甘噛みする。 ぴちゃりと音をたてて開放すると、眼下の白い肌はすっかり上気して艶かしい色を放っていた。こくりともう一度息を呑むとほぼ同時に、ルヴァが微笑う。 「もっと…違うところにも」 『口付けてください』。言外に含まれた台詞が、ランディの頭の中で木霊する。 「違う、ところ……」 思わず漏れた言葉にルヴァの手が伸び、肩にかけられていた手を取って自分の首筋に触れさせる。滑らかな感触に息を呑み、誘われるように唇を近付けていった。触れた瞬間の、瑞々しさ。 「…ぁ……」 唇で触れ、舌で辿り、軽く吸い付いて淡い痕を残す。幾度も繰り返されるその行為に、ルヴァの表情が蕩けていく。 「もっと…」 誘う台詞と濡れた瞳。『こういうこと』に慣れていないランディはあっさりと陥落してしまう。 眩暈がするほどの快楽を予感してか、ルヴァの喉が鳴った。 |