2000/02/11・UP
DARK BLOOD
〜 3 〜
清一色×八戒


 無遠慮にぶつけられる据わった視線を軽く受け流すと、酷く弾んだ声を響かせる。

「好いですねェ…その瞳」

 がっ、と頤を掴まれ、顎の骨を指で締め付けられる。ぎりぎりと圧迫される痛みに歪む

碧玉を、細い目が楽しげに覗き込んだ。過去に立ち戻りかけて据わる眼差しと、絡みつ

くような視線がぶつかり合う。

「同じ血を分けた……兄弟も同然じゃァありませんか」

 口元は微笑んだまま、切れ長の瞳がぎろりと八戒を睨めつけ、傷をつけていないほう

の頬に添えられていた手の平が喉元にかかる。

「仲良く、しましょう?」

 言葉と同時に、顔の浮かぶ背後の空間から、彼が咥えている点棒と同じものが凄い

勢いで八戒目掛けて降り注いだ。

「っく、ああっ!」

 両肩、両腕、手の平、脚。鋭い刃物と化した点棒がそれこそ全身に突き立てられ、ざ

くざくと皮膚を貫き肉を裂く。刺さった傍からそれは融けるように形を変え、皮膚の内側

へと染み込むように消えていった。傷口からは血が流れ出て衣服を濡らし、真っ赤に染

めていく。





 痛みと熱と痺れが身体中を覆う。変わらず手は八戒の首を掴んだまま、長い舌が薄

い唇をぺろりと舐めた。

「ああ……やっぱり貴方には、血の紅が似合う」

 ふふ、と笑んだ瞬間、新たな凶器が飛来する。

「ああっ」

 さく、と肩に突き刺さり、先刻と同じように融けて傷口に染みていく。そうしてまた新た

な鮮血が流れ出す。

「今の御友達と一緒に居る時の偽善者面より……」

 ひゅん。今度は胸に刺さり、鋭い痛みにまた襲われる。脈打つリズムと同じ間隔で血

が流れ、痛みに息が詰まる。

「血に濡れた……貴方のほうが、素敵ですよ」

「っう、ぁ…っ」

 ざく、と太腿にまた点棒が突き刺さる。立ち上る血の香気がやけに芳しい。




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バレンタインカウントダウン ☆ 清一色から八戒へ / 『狂愛』 を込めて