DARK BLOOD 〜 3 〜 |
清一色×八戒 |
無遠慮にぶつけられる据わった視線を軽く受け流すと、酷く弾んだ声を響かせる。 「好いですねェ…その瞳」 がっ、と頤を掴まれ、顎の骨を指で締め付けられる。ぎりぎりと圧迫される痛みに歪む 碧玉を、細い目が楽しげに覗き込んだ。過去に立ち戻りかけて据わる眼差しと、絡みつ くような視線がぶつかり合う。 「同じ血を分けた……兄弟も同然じゃァありませんか」 口元は微笑んだまま、切れ長の瞳がぎろりと八戒を睨めつけ、傷をつけていないほう の頬に添えられていた手の平が喉元にかかる。 「仲良く、しましょう?」 言葉と同時に、顔の浮かぶ背後の空間から、彼が咥えている点棒と同じものが凄い 勢いで八戒目掛けて降り注いだ。 「っく、ああっ!」 両肩、両腕、手の平、脚。鋭い刃物と化した点棒がそれこそ全身に突き立てられ、ざ くざくと皮膚を貫き肉を裂く。刺さった傍からそれは融けるように形を変え、皮膚の内側 へと染み込むように消えていった。傷口からは血が流れ出て衣服を濡らし、真っ赤に染 めていく。 痛みと熱と痺れが身体中を覆う。変わらず手は八戒の首を掴んだまま、長い舌が薄 い唇をぺろりと舐めた。 「ああ……やっぱり貴方には、血の紅が似合う」 ふふ、と笑んだ瞬間、新たな凶器が飛来する。 「ああっ」 さく、と肩に突き刺さり、先刻と同じように融けて傷口に染みていく。そうしてまた新た な鮮血が流れ出す。 「今の御友達と一緒に居る時の偽善者面より……」 ひゅん。今度は胸に刺さり、鋭い痛みにまた襲われる。脈打つリズムと同じ間隔で血 が流れ、痛みに息が詰まる。 「血に濡れた……貴方のほうが、素敵ですよ」 「っう、ぁ…っ」 ざく、と太腿にまた点棒が突き刺さる。立ち上る血の香気がやけに芳しい。 |