DARK BLOOD 〜 5 〜 |
清一色×八戒 |
首がふわりと浮き上がり、先刻よりも高い処から八戒を見下ろした。それにつられるよ うに傷だらけの身体が空へ浮き上がり、纏い付いていただけの着衣が重力に従っては らはらと落ちていく。 「こんな趣向は、如何ですかねェ」 爪が、すうっと胸元へ下ろされる。傷を撫で上げ、その先にある紅色の尖りをぴん、と 弾いた。 「っ、く」 衝撃が背筋を伝い、身体中が痺れる。痛みと、もうひとつ、身に覚えのある感覚が身 体を震わせた。 「先刻、その身体に傷を作って差し上げたでしょう?」 八戒の反応に、嬉しげな色を湛えて一色が嗤った。奇妙な浮遊感に吐き気を催す碧 玉の隣、漸くその全身を晒すと、自分の唇をするりと撫でて血まみれの胸元へもう一度 手を伸ばす。 「この点棒ね、貴方に悦んで貰おうと想って、特別に作ったんですよ」 咥えた点棒を手に取ると、その切っ先で首筋をゆっくりと撫でた。奇妙な痺れが触れ られた箇所から湧き上がり、背筋を伝い降りていく。その手を急に振り上げたかと想う と、そのまま肩口へと一気に突き刺す。 「っう、あぁっ」 「こうやって刺すとね……融けて身体に染み込むんです」 点棒は音もなく崩れて、新しい傷口へと染み込んでいった。訪れる鈍い痛みと痺れが 思考を乱す。 「痛みと、快楽………どちらのほうが、お好みですか?」 ふふ、と嘲笑う声が、閉じられた空間の中静かに響いた。 荒い吐息が充満する。八戒の―――――悟能の、吐息。 「い…ゃ、だ……っっ」 びくん、と上体が跳ね、背筋が仰け反る。一色の手がするりと胸元に伸び、また一本 突き立てられた。深くなった傷口から、痛みと疼きが身体中へ広がっていく。上気した 肌に流れる血を、ぴちゃ、と長い舌が舐めた。 爪が肢体を辿る度に増えていく引掻き傷と、点棒で撫で切られ或いは深く突き立てら れて出来た傷が、止め処ない痛みと言い様の無い快楽を齎して思考を乱れさせる。 「熱いでしょ?」 嬉しそうに嘲笑う。 |