DARK BLOOD 〜 6 〜 |
清一色×八戒 |
紅く肉の覗く傷口、縁で捲れあがる皮膚を撫でるように指を這わせ、中央の一番広く 開いた部分を強く押し込む。ひくりと震える粟立つ肌に、ひとつ、またひとつ傷を残して いく。鋭く伸びた爪が、胸で硬くしこる尖りを弾き突付き廻して、血を滲ませる。 ひとしきり弄った後、ぷつ、と尖った爪の先で紅い尖りを刺し貫いた。 「っう、あぁっ」 開いた穴をぐりぐりと広げるように爪を廻しながら、もう片方の尖りを口に含む。同じく 硬くしこったそれを舐り、舌を巻きつけてきつく締め付けたまま震わせると、煤竹の髪が 左右に揺れてぱさりと乾いた音をたてた。 「綺麗に穴が開きましたねェ…今度、此処になにか飾りましょうか」 大丈夫、塞がってしまったら、また開けてあげますから………と言い、薄く開けた瞳に 陰惨な笑みを浮かべる。 空に持ち上げられてから多少の身動ぎは出来るようになったけれど、相変わらず身体 の自由は奪われたまま。その身動ぎすら、一色の術が緩んだ為のものではなく、与え られた刺激に八戒がどう反応するかを見たいが為に施されたものでしかなかった。 「……ゃ…め…っっ」 ぎち、と尖りをきつく摘まれて、声が漏れる。 「何故……こん、な…っ……」 喘ぎに混じる問いに、笑んだ顔容のまま近付く。尖りを貫き更に抉っていた爪を引き 抜いて、その手で頤を掴む。 「どうしてか、判りませんか?」 ざく、と首筋に新たな点棒が突き刺さる。動脈を器用に避けたそれが、また音もなく皮 膚の内側へと染み込んでいく。じわり、湧き上がる、耐え難い熱。 「猪悟能……貴方が、欲しいんですよ」 胸を弄っていた手が、脇腹を辿って下肢へと伸びる。さく、と腰骨に突き刺さるその衝 撃と痛みと熱に、息を詰まらせた。 「莫……迦、な……っこ…と…」 気持ち好いくらいの場違いな笑みと溜息を零すと、一色はひょいと肩を竦めてみせ た。血の滲む腰骨の傷に指を食い込ませながら、唇を重ねていく。口腔を這い回る舌 の感触が気持ち悪くて顔を背けようとするが叶わず、それならばと、舌を噛み切ってや ると言わんばかりの勢いで歯を噛み締めようとするけれど、頬を強く掴まれその動きを 阻まれてしまう。 「やっぱり信じては戴けないですかねェ」 少しだけ困ったような顔で微笑う。身体を起こすと、するりと伸びた脚を撫でる。首を傾 げるような仕草で碧玉をじっと見詰め、腹部に残る大きな傷痕に指を添えた。 |