DARK BLOOD 〜 8 〜 |
清一色×八戒 |
「血に濡れた貴方が、忌み嫌う妖怪へと変化していく………その様は、とても綺麗で、 素敵で………怖気が立つ程でした」 ず、と腹の傷から指を引き抜く。途端にびくりと肢体を跳ね上げて呻く姿を眺めて、血 濡れた手を口元に運ぶ。 ワタシ 「その貴方を……欲しいと想いました。初めてですよ、我が他人にこれほど執着するな んてコト」 浅く喘ぐ八戒の唇を辿り、彼の血で紅く染める。ふふ、と微笑い、己の鋭い爪に口付 けた。それが合図だったのか、しゅん、と、八戒の身体を責め苛んだ爪が指先に隠れ る。忙しなく上下する胸を辿り、下肢へとその手を伸ばした。 「貴方も、ほら……こんなに欲しがってくださっていますし」 つっ、と中心を撫で上げられて、ひくんと下肢がひとりでに震える。八戒の昂ぶりは既 に熱を孕んで、硬く熱く反り返っていた。 「っや、め……ろ…っっ」 身体にはやはり力が入らない。霞む思考のなかで必死に一色の術の綻びを探すけ れど、全く見つけられなかった。そうしている間にも、弄虐の手は更に伸びていく。 突然昂ぶりをきつく握り込まれ、びくりと身体を震わせて低く呻く。痛みの中には確か な快楽。微かに晴れた霞みの中から、意識を奮い立たせて睨みつける。真正面からそ の視線を受け止めて、一色の口元に笑みが上った。 腹を裂かれ瀕死で地に横たわり、目の前が霞んでいくのを感じながら、直ぐ其処で同 じように自らの腹を裂いて絶命した彼女のことばかりを考えていた。 「覚えていませんか?」 その途切れそうな意識に無理やり割り込んできた、血の芳香。背中に滴り落ちる鮮 血と、くぐもった笑み。それを知覚した瞬間、流れ出していくだけだった血が逆流してく るような感覚に襲われた。 「貴方に」 身体が軋む。細胞レベルでの悲鳴。眩暈がするほどの動悸と激痛。混乱した意識の 何処かで、高く嘲笑う男の声が響く。 「千人目の血を贈った、妖怪のコト」 無意識に、身体が動いた。 異様なほどに伸びた己の爪が、目の前の身体の中心を貫く。血を吐きながらスロー モーションのように崩れ落ちていく肢体。その男の顔は。 |