2000/02/25・UP
DARK BLOOD
〜 10 〜
清一色×八戒


 身体の上から彼の身体が退き、脇腹を手の平で撫でられる。ささくれる傷口に薄く笑

ったままの唇が落とされた。触れられた瞬間鈍い痛みに襲われたけれど、程なくすぅっ

とその痛みが引いていく。

 身体中の其処此処へ次々に口付けられ、その度に痛みが消えていく。後に残ったの

は、じくじくと疼く熱。至る所につけられた傷痕が熱を持って八戒の意識を苛んでいく。

「取り敢えず、今のところは楽しみまショ」

 何処から湧いてくるのか、また新たな点棒を手ににっこりと不穏な笑みを浮かべる。

長い舌でぺろりとそれを舐め、首筋に手を伸ばす。

「苦痛と愉悦に塗れた貌を、見せてください」

 ずっ、と鈍い音をたてて首に点棒が吸い込まれていく。激しい痛み。血管に添うように

挿しいれられたそれが淡雪のように溶け出して、血の流れに乗り全身へと運ばれる。

身体中を覆う熱。秀麗な眉が顰められ、感覚を閉ざすかのように目が伏せられる。その

姿を見詰める一色の表情がすぅっと冷えていく。





 つい、と寄せられた唇が、八戒の耳に毒を含んだ声を注ぎ込む。

「姉が魔王に陵辱され、弟がその息子に犯される………実に面白い現実だと想いませ

んか?」

 その言葉に、かっと碧の目が見開かれる。暗い炎の宿った、怒気に滾る眼差し。細い

目を大きく見開いて、白い顔容が酷く楽しげに笑った。

「……そう、そうでなくては、面白くない!」

 喉の奥でくっくっと、くぐもった笑い声。何処が始まりで何処が終わりなのか、全く見

当のつかない空間を震わせて一色の声が響く。頤に手がかかり、ぐいっと持ち上げら

れる。

「もう3年も経つというのに、まだあの女が棲んでいるんですね」

 まぁ、せいぜい利用させてもらいますよ。言い放つと唇を重ね、無理やり舌を捻じ込ん

でいく。舌と舌が触れ合った瞬間に期せず湧き上がる劣情。煤竹の眉がきつく顰めら

れる。きつい瞳で睨んでも、意識の底で拒んでも、染み込むように忍び込んでくるその

感覚は、留めようが無かった。

 下腹を打つ昂ぶりを握りこまれ、些か乱暴に扱かれる。一色が準備を施した肢体は

その刺激すら易々と快楽にすり替え、あっと言う間に吐精へと導いた。

 滑る白い蜜を肌に塗り込めるように指先で広げ、残る雫を舌で舐める。脚を高々と持

ち上げて、奥まった処へ指を沿わせた。に、と笑んだかと思うと、遠慮会釈なく体内に

細い指が押し入っていく。生理的な震えが間断なく身体を襲い、背筋を甘やかな痺れ

が駆け抜けていった。

「姉弟でするのって具合がイイんでしょ?………『兄弟』でも、イイと思います?」

 揶揄するような声も遠く、鈍い痛みと快楽で思考が蝕まれていく。

 ぐちゅぐちゅと幾度も掻きまわされて、細腰がびくびくと快楽に跳ねる。





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バレンタインカウントダウン ☆ 清一色から八戒へ / 『狂愛』 を込めて