2000/03/26・UP
FAKE
〜 3 〜
清一色×八戒


 伸ばされた舌が柔らかく絡みつき、八戒の舌を強く弱く吸い上げる。幾度も飽くことな

く求められ絡め取られて、思考が揺らぐ。舌を絡めあう合間、時折薄い唇から蜜が齎さ

れ、それがとろりと口腔へ滴るたびにぞくりと背筋が粟立つ。深く浅く重ねていくうち

に、交わされる蜜が増えていった。その度微かに聞こえてくる湿った音にすら、感覚を

煽られていく。

 肩が震え、背が僅かに浮き上がる。身体が弛緩していき、薄く開かれた瞳が濡れ始

める。

「…ま、『愉しい』から、付き合ってあげますヨ」

 ゆるりと蕩けかけた瞳が一色の瞳を見詰め返す。返事を待つかのように、肌が触れる

ほど近くで微笑む白い貌。視線が一瞬揺れ、そして、八戒は自分から頤を上げて一色

に口付けた。





◇   ◇   ◇






 自傷行為に似た代償行為。

 何も護れなかった自分への『罰』。咎無き数多の命を奪った自分の『罪』。





 行為の最中ずっと、八戒は咽び泣く。酷く弄られ、止め処ない悦に晒されながら、時

には許しを乞うように、時にはもっと酷くと願いながら。

 寝台近くの椅子にかけられていた自分のズボン、それから引き抜かれたベルトで両

の手首を寝台に固定された状態で、八戒は声を上げていた。

「どうして慾しいデスか」

 最初に少し触れられたきり放置されている昂ぶりが涙を流し打ち震える。その下で、

細い一色の指先が蕾の入り口を弄玩していた。器用に唇を近付けて蕾へ蜜を落とし、

ゆっくり引き出した指で内部へと塗り込める。

 時折深く指を埋め込まれて、びくりと身体を引き攣らせながら八戒はその身を捩らせ

た。物足りない刺激に焦れるように蠢く肢体に降りかかる揶揄。

「これだけで、イイんですか?」

 くっくっと笑みを零しながら、言わなければ判らない、と囁く。

 潤んだ瞳が薄く開かれる。腕を伸ばそうとしたのか、ベルトで腕を括り付けられている

柵がぎし、と軋んだ。碧が歪み、熱い溜息が落とされる。

「あ、あっ」

 返事を促されるように深く突き入れられた指が、最奥のしこりを弄っていった。撓る肢

体、突き出されるような格好になった胸部に口付けが降る。

 吐息に混ぜ込むような声が、八戒の昔の名を呼んだ。

「も……っ…」

「はっきり言って下さいネ」

 また蕾の奥を穿たれる。唇を噛み締めたまま、すらりと伸びた脚がシーツを掻きなが

ら引き攣った。





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