夜毎訪れる眠りの中、僕は最近よく夢を見る。
けれど、どんな夢かは覚えていない。ただ、呑み込まれそうな程に甘い残滓を脳裏へ残し、その夢は、朝の目覚めと共に記憶の彼方へと消えていく。
頭の中に、身体の奥に残るその感覚は、微かな断片すら記憶に留めぬその夢を、叶うことならもう一度見たい、と思わせる程の甘さで僕を揺さぶる。その夢をもし覚えていたなら、そのまま夢に取り込まれてしまうかもしれない。そんな予感が、僕を酷く不安にさせる。
そんな不安に苛まれながら、けれど夢の訪れを望む、自分が居る。
―――――そう、確かに僕は、『夢』を見ている。
◇ ◇ ◇
「―――ッッ!!」
幾度目かになる吐精に震え快楽に跳ねる青年の身体を、男が緩く抱きしめる。青年の後孔を貫いたまま男は精に濡れた手で青年の頤を捉え、自分の方へと顔を向けさせて口付けた。
声を洩らすまいと噛み締めたままの薄い唇を、男は舌でゆるりと辿り、下唇の縁を軽く食む。そのまま緩く吸い上げると、伏せられている青年の目許が僅かに瞬いた。
「また―――達きましたよ。…判ります?」
ほら、こんなに、と精に濡れた指で男は青年の唇を撫で、緩く笑いながら指を2本、口腔へと捻じ込んだ。荒い息に緩んだままの唇は、濡れた指の進入を簡単に許してしまう。その指2本で青年の舌を捏ねるように弄ぶと、噎せ返るような精の匂いに意識を取り戻したのか、青年は嫌がるように頭を横へ幾度か振った。
「いや…だ……はなせ…っ」
「いや、ですか」
今更何を、という風に喉奥で笑みを転がした男は、繋がったままの身体を抱えなおした。
「まァ、厭なら…しょうがないですねぇ」
男は楽しそうに目を細め、自分の髪を結んでいた紐を解き、精の流れを塞き止めるように青年の肉茎の根元を縛りあげた。信じられないものを見たような表情で、青年が目を見開く。
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