光を紡ぐその姿はどれほど眺めていても飽きることは無く、水辺のほとり、近くの岩に腰をかけて水面に映し出された黄金色の月を見詰めた。
ゆらゆらと揺らめく水面に合わせて形を変えていく黄金。常に真円を描き天空へ駆け上る太陽と比べて、満ち欠けによってその見え方が変化する月は、不実の象徴として扱われることが多かった。
けれど、と地慧は首を傾げる。
いつまでも変わらないものこそ、信じられない、と思うこともある。
人というものは変わるものであり、変わらなければ生きてゆけない存在でもあるから、そういう意味で、人は月に似ているのかもしれない。
「だからこそ、不安にもなるのでしょうねぇ……」
ぽつりと呟くと、流石に冷えてきた身体を抱き締める。ぶる、と身震いしながら立ち上がると、自分の宮への道を再び辿っていった。
≪翌朝、地慧の宮≫
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