温もりに縋りたい衝動に駆られる。唇をきつく噛み締め、抱えた布をきつく握り締める。
「地慧」
その声に弾かれるように、地慧は闇珠の腕を振り切って自分の宮へと駆け込んだ。
「地慧!」
大きな音を立てて扉を閉め、背中を預ける。その向こう側で彼の声が聞こえたけれど、ぶんっと首を振ると、そのまま寝室へと向かった。
机に織物をそうっと置いて、服も着替えずに寝台へと身体を投げる。
枕に貌を埋め、上掛けを掻き寄せて抱き締めた。静かな部屋に充満していく嗚咽。
長い長い夜が、静かに更けていった。
≪夜が明けて朝……≫
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