七夕の戀




 色を濃くした太陽が、地平へ近付いていく。
 ぽろぽろと涙を零し、『どうして?』と頭のなかで繰り返し繰り返し呟きながら、地慧は紅過ぎる太陽を見詰めていた。



 約束していた時間はとうの昔に過ぎてしまっていた。これだけ太陽が傾いてしまってはもう彼はこないだろう。なかなか諦めきれずきょろきょろと辺りを見回し続けていたけれど、太陽が地平に触れるのを見て、ようやく踏ん切りをつけたのか、大岩から腰を下ろして地に立った。
「………」
 口の中で地慧しか知らぬ彼の名を呟くと、くるりと踵を返してその場を立ち去った。








≪ほとりを歩きながら帰る≫       ≪真っ直ぐ宮に帰る≫







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