七夕の戀




 ふわりと微笑い、地慧は小さく首を振った。
「いいえ…宮のほうへ戻りますので……今日は失礼致します」
 何処かやつれたような風情を気にしつつ、けれどこの場を辞する彼を止める術は無く、そうですか、と少し残念そうな声音で悌矛は微笑んだ。
「東の宮までいま少し距離がありますから、お気をつけて」
 再度深深と頭を垂れその場を離れると、地慧は歩きながら空を見上げて溜息をついた。



 沢山の宝玉を振り撒いたような星空。一年前のあの日の夜もこんな風によく晴れていて、沢山の星が瞬いていた。
「もう…逢えないんでしょうか……」
 川のほとりを、空を見上げながら、てくてくと地慧は歩いていった。




≪このまま川のほとりを歩いていく≫      ≪川から離れて歩いていく≫







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